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セミナー報告

2008年 6月  JFMA国際セミナー


「お花屋さん活性化セミナー」
 ~ ヨーロッパの切花市場とBlume2000 ~

国際セミナー日時   :2008年6月17日

場所   : 法政大学 スカイホール 26F

 今回は、店舗とネット販売で急激に伸びているドイツの花屋ブルーメ2000から代表取締役のお二人をゲストスピーカーにお迎えしました。セミナーの参加者は145名。セミナー、パネルディスカッション、情報交換会を通して、今後の日本の花き業界を考える良い機会になったと思います。  ブルーメ2000はドイツ国内で唯一花のフランチャイズを成功させており、国内に200店舗を持っています。又、2000年から始まった花のネット販売Blume2000.deにおいて、国内売上高1位です。彼らが、どのように急成長を遂げたか、今後、どのような戦略で展開してゆくのか、「消費者に支持される基本原則」を1時間半にわたって講義していただきました。  小川会長からの総評にあったように、「ブルーメ2000の成功は基本的な事をしっかりと実行してきたこと」ではないでしょうか?彼らが述べていたことは決して特別なことではなく、大学のマーケティング論の教科書に載っているような基本的な理論に基づいています。  その理論に沿って、顧客行動、顧客満足をしっかりと分析し、戦略をたてています。さらに、その戦略に沿って計画的に実行する力があるというのが彼らの強みであり、成功の秘訣です。又、客がくるのを待つのではなく、積極的に売りに出るという姿勢を強く感じました。


講演Ⅰ ドイツで高級花店が挑戦している「鮮度・ボリューム保証販売」


クリザール・ジャパン(株)代表取締役社長 海下展也 氏

ドイツの高級花店がスーパー、ディスカウントストアなどの台頭に危機感を持ち対抗すべく打出した戦略が「鮮度・ボリューム販売」。最高のフラワーデザイナーのデザインで、鮮度とボリューム感のあるお花をお客様にお届けしようと言う挑戦の事例を紹介します。
 世界の花き消費額は12兆円で、トップのアメリカに続いて日本は11%で第2位、ドイツは9%で第3位を占めている。花を買う理由は、ドイツ、日本ともギフト、家庭用が共に半分以上を占めるが、英国では、個人、自分のためが60%となっている。スーパーの比率を見ると、日本、ドイツは15~20%でよく似た花き業界の状況にある。一方、花の嗜好を見ると、ドイツでは、バラ50%、チューリップ12%に対して、日本は、キク36%、カーネーション10%、バラ8%の順で両国は違っている
。  次に、花の浸透度と花文化度という面白い話をされた。花の使われ方とお花を買ってくれる人の割合にステップがあって、日本はドイツと共にSTEP3、花を買う人の割合が40%となっている。今後家庭用の花をもっと楽しんでいく時代となると、イギリスのように60%の人が花を買ってくれるようになる。

ステップ 花浸透度 花の用途 地域
STEP1
10%
仕事花 上長者への高級ギフト 中国 ベトナム
STEP2
25%
仕事花への伸張、家庭花の始まり 韓国 香港
STEP3
40%
仕事花の伸び悩み、家庭花の伸張 日本 ドイツ
STEP4
60%
家庭花の普及、カジュアル、ギフト伸張 英国 米国

 それでは、花文化度STEP4を実現するのはどうしたら良いか?花店においては、鮮度保証販売、顧客満足度保証販売、トップデザイナーによるデザイン、ボリュームと価格定時販売への取組。また、量販店においては、鮮度保証販売、フェア・トレード(FFP)、カーボンフットプリント取組、企業の社会的責任の宣言が必要。また、ステップ4では、ネット販売と店舗販売の相乗作用が起こる。
カーボン・フット・プリントでは、カーボン・マイルの比較をすると、航空機のCO2排出量は、トラックの10倍、海上コンテナはトラックの1/5となっている。イギリスでは、テスコなどカーボンマイル表示の初期導入として航空機ステッカー添付を実施しており、商品に消費者に渡るまでのCO2使用量を表示するテストも始まっている。また、地産地消を重視する国産をもっと販売する動きも出ている。
 ドイツの高級花店での切花鮮度保証販売(Guaranteed Fresh)の事例が紹介された。これは、デスカウントショップやスーパーマーケットの安値攻勢に対抗すべく1500店規模で取り組んだもので、鮮度保持剤での切花品質継続管理がメインで、デザインは、著名なデザイナーが担当して、広報は、雑誌「フローリスト」が一括して担当した。店頭では、花持ち保証、デザイン性、手入れ方法、確実なお届けなどで、「お客様の満足度保証」を目指した。

開 誠氏

講演Ⅱ 花宅配サービス Flower Delivery Service 


Erik Siekmann (エリック ジークマン) 
  ブルーメ2000 ニュー・メディア部門―代表取締役

 今回のプレゼンテーションでは3つの話をしたいと思います。第一に ブルーメ2000.deの宅配モデル。どのように48時間以内に宅配をしているか?第二に販売チャネルであるインターネットについて、第三に今後ネット業界はどうなってゆくかという事です。
 ブルーメ2000.deは2000年にハンブルグで設立されました。小売としてのブルーメ2000はもっと前からありましたが、直営宅配販売を始めたのは2000年からです。ネットによる花の宅配サービスでは現在ドイツのリーダー的存在になりました。ドイツの切花の市場の大きさは31億7500万ユーロ。ヨーロッパの切花市場において最も価格が安く、その価格はオランダよりも安いです。今は、市場でのポジションをできるだけ、高めたいと思っています。ブルーメ2000は花宅配サービスでは国内第二位、 直営花宅配サービスでは国内一位、ネットの花宅配サービスでも国内一位です。
 ブルーメ2000.deのコンセプトは「畑から花瓶まで48時間以内に!」というものです。ブルーメ2000.deでは、全ての切花は生産者からベルリンにある我が社の加工センターに直接、届けられ、我が社のフローリストがそこでハンドメイド・ブーケを作り、24時間以内にDHLの宅配で受取人に送られます。このコンセプトは私たち独自のものではありません。もともとはDell(デル・コンピューター)が行っていた直接配達というものです。日本ではDellはあまりうまくいっていないようですが。アメリカではFedexを使って同じように花の直接販売というものが80年代後半から行われるようになりました。
花はオランダの生産者とオランダの市場から仕入れています。市場で仕入れる場合も生産者で判別しています。ベルリンに持ち込まれた花はそこで教育をうけたフローリストがブーケにしていきます。一日で1800-2500個のブーケが作られます。さらに、そのブーケに7日間の品質保証をつけています。他にも花の宅配サービスというのは前からありましたが、品質保証をつけたのが、ブルーメ2000がこの業界で飛躍的に伸びた理由だと思います。ネットで売る商品は、通年モノ、季節モノ、その月の目玉商品とそろえています。宅配料は別ですが、一般的には7-10ユーロであるのに対し、ブルーメ2000は5ユーロに抑えています。それが可能なのは、数量がある為、3台の専用のDHLの車あり、その車が加工センターに花を取りにきてそこから再配送するからです。
 インターネットが花ビジネスの革命を起しました。10年前にはドイツの花宅配市場の100%をレンガやモルタルでできた花屋に頼っていましたが、現在では5割の花の宅配市場はネットによるものになり、その傾向は伸び続けています。フォレスター研究所が行ったシミュレーションによると8年後にはネットでの花の宅配率は80-90%になるだろうと言われています。ネットの花宅配においてはアメリカの8-10年後にいるので想像がつきます。  e-コマースが新たな顧客の獲得を開くことができます。今までにもドイツではFleuropやEuro Floristなどの花の宅配サービスはありました。しかし、Blume2000.de のネットで花をオーダーする2/3の人がそれまで花をオーダーしていなかったという事実があります。ギフト市場においては、既に他の花宅配業者が競争相手なのではなく、他のものが競争相手です。例えば、アマゾン・ドット・コム、ワイン、ホールマーク、音楽、ギフト券・・・など。音楽が競争相手にあると誰が予想したでしょうか?誕生日、お祝いと気持ちを伝える為の媒体は色々な可能性があるのです。
 インターネットは購買行動に影響を与えました。従来はCDがほしいと思ったら、まず、タワーレコードへ行って、商品をみて選んで購入していました。ネットの発展による新たなプロセスは、店は決まっていなくて、○○のCDを買える店を探すというものです。ドイツではものを買う時、昔はデパートへ行きましたが、今ではまずはGoogleで検索するというのが最初の行動です。インターネットはビジネスゲームのルールを4年一度のペースで変えます。4年後がどうなるか、予測がつきません。ですが、その新しいルールとビジネスゲームからできることは多いと思います。
 私たちが今まで、なぜ成長することができたかと考えると、自分たちを知ってもらうことに力を入れたことです。カタログ、電話、チラシと使える媒体は何でも取入れました。特にここ3-4年力を入れているのはサーチ・エンジンです。さらに、販売網を統合・確立させ、購入者に安心してもらえるようにしました。ドイツではB-to-Bは日本のように大きなマーケットではありませんでしたが、B-to-Bの販売網も作りました。商品の観測もしっかりと行い、もし商品が1日でも全く売れなかったら新たな商品を出すようにしました。 顧客がどの商品が生き残り、消えるかを決めるのです。
 今後、検索エンジンの改良を続けると共に、顧客の興味をそそる商品、需要の拡大、より良いサービスに力を入れていきたいと思っています。クレームにはすぐに対応することも大切です。Blume2000のクレーム率は2%以下です。そして、何よりも、ネットのルールや現状に早く適応することが重要ではないでしょうか?

 最後にヒントとなるダーウィンの言葉で私のプレゼンテーションを締めくくりたいと思います。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化に対応できる者である 。」


講演Ⅱ 8年間ブルーメと共に! 


Alexander Zoern (アレキサンダー ゾーン) 
 ブルーメ2000 小売部門 /Flower-Depots部門 取締役

ブルーメ2000花の小売部門についてお話したいと思います。1974年ドイツ、ハンブルグに本社が設立され、今では花の店舗小売業でマーケットリーダーです。これはネット部門と合わせた数字ですが、店舗数200、年間顧客数2000万人、売上1億2000万ユーロ、従業員1400人の会社です。店舗の立地は、大きな通り、大きなショッピングセンターで、店のコンセプトはどちらかというとディスカウント、大量販売、ホームユースといったものです。商品は世界中から買付け、ポーランド、オランダ、ドイツにて花束加工しています。又、オランダに仲卸会社を所有しています。
 私たちの販売方法はマスで売るということです。ディスプレーもマスで、ボリューム感を出します。昨日、日本の花屋を何軒か見ましたが、日本のように、単品で売るようなことはしません。必ず、バラ10本、菊5本など、束で販売しています。束売り以外では、ギフト用の付加価値のある鉢物や、ハンドタイド・ブーケがあります。ハンドタイド・ブーケの価格帯は5-15ユーロくらいです。一店舗の売上は平均600,000ユーロ。参考までに、ドイツの切花の平均的な価格をご覧ください。(図1)

国際セミナー 図1
図1

一方、ドイツの花き市場はどうなっているかという点にも触れておきたいと思います。市場規模は85億ユーロ(内訳:切花37%、鉢物46%、木17%)、 花の用途は日本と大きく異なり、80%がプライベート、20%がビジネス・商業となっています。すでに、成熟したマーケットで、売れ行きは停滞ぎみです。スーパーマーケット、DIYの追い上げと共に、激しい価格競争、原料、物流コストの増加と厳しい状況下にいます。この状況の中、もはやディスカウントはBlume2000のUSP(Unique Sales Point=戦略、特色)ではありません。鉢や切花の数量で見た場合、すでにその量ではスーパーやDIYが5割を超えています。価格が安いため、売上高ではまだまだに見えますが、脅威です。彼らの商品の多くは1.99ユーロです。
 では1.99ユーロにどのように戦っていくか?マーケット戦略として考えたのは、スマート・ベーシックです。低品質・低価格のディスカウント、その反対が高品質・高価格のラクジュアリーです。その真ん中にくるのは、高品質・低価格。
 マーケティングの世界では一番、やってはいけないと言われてきたポジショニングです。そのポジショニングを「スマート・ベイシック」という新たな戦略ポジションと考えています。マクドナルドでも、おしゃれなカフェスタイルが出てきました。高品質の空間だと少しだけ多く支払ってもよいという気持ちになります。Zara,Muji,Starflyerなどが同じような戦略をとっています。Blume2000はさらに、このスマート・ベイシックのコンセプトを追求していこうと思っています。 スマート・ベイシックの基本は、品質、鮮度、惹きつけるプレゼンテーションとスタイル、よい価格、サービスとマルチチャンネル、安全な供給です。特色のある販売戦略として、対象に合った品揃えと色合え、花と花以外のもののコンビネーション、自宅用の新鮮なアイディアで早い製品サイクルなどが考えられます。そして、さらなる潜在能力として、ギフト市場があるかと思います。
 戦略を考える時は、きちんとステップを踏んでいくことが大切です。
スマート・ベイシックを推進するために、テスト店舗を行うことにしました。その中で、スマート・ベイシックと一言にいっても2つのタイプがあることに気がつきました。1つは大都市用で将来的には300店舗まで増やせるもの、そして、小都市用の花屋タイプのものです。このテストの結果を踏まえて、 2009年にはこのプロプロジェクトを着工したいと思っています。店舗数を増やすには小都市タイプはフランチャイズを考えています。
 小規模な花屋にとってはその方が維持費等と考えた場合、メリットがあると考えてのことです。
日本のマーケットが成熟するためのアドバイスとしては、やはりバケット輸送や冷蔵輸送を行い、品質を保つようにすること、そうすれば品質保証も行えます。あとは客単価を最終的に上げる努力が必要です。ちなみに私だったらもっとボリュームのある売り方をすると思いますが、国が違えば考え方も違うので、何が正しいか、提言できません。あとは花に気持ちを乗せる。誕生日やお祝いに花を贈るような習慣ができればもっとギフトの消費は伸びると思われます。男性が女性にもっと花を贈るようになるとよいのではないでしょうか。
 Blume2000は今の成功に甘んじず、これからも消費者に支持される花屋であるよう努力していきたいと思います。

国際セミナー

パネルデスカッション 「花市場、新たな世界の構築」

コーディネーター:小川孔輔JFMA会長 
  パネラー:E.ジークマン氏、A.ゾーン氏、海下展也氏、川口和人氏(ディノス)
       井上英明氏(パークコーポレーション)、富樫 淳氏(花プラン)


富樫 インターネットを否定するつもりはないが、生産者の立場から言うともっと温かみのある売り方もあると思う。

川口 大型家具からインテリアの小物などカタログとテレビで行っている。30%がネットからの注文となっている。花販売の通信販売、配達。全国2200の加盟店を持っている。需要を作り出す、需要を喚起していくのが重要。通信販売、通信配達も厳しい状況。昨年並み或いは以下が続いている。皆様と需要喚起を一緒に考えていきたい。

小川 ブルーメの場合は新しいお客様を開発している。日本では?

川口 顧客400~600万人。なかなかパイが増えない。顧客を増やすきっかけとしてお花を取り入れた。

小川 ブルーメはマーケティングの基本に忠実。ベーシックなことをやっていると感じた。

井上 ワインと花を一緒にもらうと嬉しい。去年のクリスマスにワインと花を贈ったら喜ばれた。花にこだわらないで、花を添えるでも良いのでは。他の業界から攻め込まれるのではなく、他の業界に花もどんどん出て行けばと思っている。

小川 ユニークセールスポイント(USP)。ギフト市場で戦うのではなく一緒にやるのもポイント。

アレクサンダー 自分の会社のUSPが見つかったら、それをネットで売るのは良いと思う。

エリック 私達も33%は抱き合わせで花を売っている。ワインとか普通にやっている。広告も大事。私達も広告でここまで来た。

海下 ヨーロッパでは、毎週いろいろなサービスが付いている。いつもお客様が側にいる状況を作る努力をしている。どこが自分の特色かと言うことを先に決めることが大事。

富樫 高品質、低価格は無理では。規模の小さいところは、高品質高価格しかない。高品質低価格は輸入品に任せるしかない。

川口 チャンレンジする気概がどこまであるかによる。生産者、中間流通も考えると難しい。中間の流通が一つ二つ抜ければあるかもしれない。

アレキサンダー ALDIは成功していると思う。お客様は1.99€しか払わない。コストがあるのでマージンは低い。マーケットシェアを増やしている。ウォルマートは撤退している。ALDIの花は家庭用でギフト用ではない。買ってもらうにはショップの見せ方も大事。お客様はなぜお花を買うかの理由があるはず。そこを考えないといけない。

小川 日本のスーパー、デスカウンターでは花で儲かっていないのでショックを受けた。

井上 札幌でスタッフがその日の朝切ったクリスマスローズが馬鹿売れした。普通のクリマスローズがその付加価値で違ってくる。お客様が手に取るのはどちらか?そう考えるとまだまだやることがいくらでもあると思う。

富樫 高品質を売りにしている。付加価値としてMPS-Qを出していきたい。35品種を出しているが、その一つ一つを花持ち試験室でチェックしている。

川口 消費者の方が満足するとはどういうことかが大事。

井上 富樫さんが日持ち試験までやっているのは凄い。それを小売としてもお客様に伝えたい。

海下 10年前は素材が並べているだけ。井上さんがライフスタイルブーケを始めたら今どこの店でも作りこんだ花を置いている。資材の人も加わって新しいものを生み出していく努力が大事。コラボもターゲットを明確にしていくことが大事。いろいろな切り口で考えていけたらと思う。

エリック 新しいものに適応してまた新しいものを生み出す力が日本にはある。他とのコラボでもやれると思う。

アレキサンダー ドイツではスーパーで切花を売って大きな市場になっている。どこが成功するかはわからない。

小川 ブルーメ200店、200億円ができている、これは基本が出来ているから。環境に合わせていくのが大事。

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2008年 6月  第58回JFMAモーニングセミナー


「欧州ツアー報告2008」
 ~ アールスメア、メゾン・エ・オブジェ、IPM、インターグリーン ~


スピーカー:
■クリザール・ジャパン㈱ 代表取締役社長 海下 展也 氏(コーディネーター)
■㈲昭和花き研究会 会長 菅家 博昭 氏 
■木本生花㈱ 代表取締役社長  木本 孝行 氏
■㈱小田急ランドフローラ 外販営業課 課長代理 田中 大 氏  
■㈱パーク・コーポレーション ブランドマネージャー 横田 由理子 氏

日時   :2008年6月10日(火)9:00~10:30
場所   :アルカディア市ヶ谷7F 「妙高」

 1月23日から9日間の日程で「JFMA欧州トレンドツアー」が催行されました。今注目されている花の展示会IPM、インテリアからエクステリアまでその年のファッションをリードする展示会メゾン・エ・オブジェ、お花屋さん、スーパーマーケット、花束加工会社などを精力的に見て廻りました。日本の花産業が見習わなければならない、参考にして伸ばして行きたいところを、モーニングセミナーで参加者の声として発表していただきました。セミナーには44名が参加しました。


イギリス 水仙を売る  菅家博昭 氏

 今回の旅で一番感じた事は、「地産地消」の国際化と環境配慮の農業への消費者の理解が進んでいたことでした。ロンドンのマークス・アンド・スペンサーの地下売場や、駅のコンビニ形式の売店で、イギリス国民が好きな水仙を10本花首のところを輪ゴムで束ね、バーコードラベルの付いたタグを下げ、黒いバケツに水を入れずに立てて陳列して販売していたことです。これはイギリスでは大きなリテイラーが国産の花を売る場所を確保しているし、それを届ける仕組みがある、そしてそのプロモーションをお店がちゃんとしているということです。  英国の小売店(量販店)は、国産の水仙を生産し愛でる文化を大切にするという事を「バイ・エアの問題」や「カーボンフットプリント」など地球温暖化・二酸化炭素削減の問題から消費者の行動で流通を変えようという運動に連動した提案をしており、その代表例が水仙の販売でした。システム化されているイギリス量販の中で、イレギュラーなものを置いて、別の売り方をするところが大きな発見でした。
 イギリスの流通業は今、変革を求められています。アメリカのオーガニックスーパーであるホールフーズ1号店がロンドンに初出店し、商品の履歴を明確に表示しています。これからの流通業は、企業の取組を明確にし、ビジョンを打ち出さなければ、生き残れなくなってきています。
 イギリスの水仙と日本の文化を考えた時、日本は「旬」をもう一度店頭に出さなければならないと思います。エネルギーを使わない露地栽培の商品と、房総半島や渥美半島などのかつてそこで作られていた伝統的な花が旬にちゃんと販売出来る仕組みを作らなければ、現状の生産のままでは続いて行かないと思います。ヨーロッパの「洋」の花と日本の「和」の花を上手く組み合わせ、一年中同じ花を欲しがらない顧客を作らなければならないと思います。イギリスの水仙を見て、「旬」を演出する事が大切であると感じました。

花のある生活文化の違い  田中大 氏

ヨーロッパの顧客は、花を欲しがっているのか?それとも花のある生活を欲しがっているのか?という視点で見てきました。ヨーロッパの花屋さんの提案を見ていると、高級店からカジュアルな花店まで、気軽に花を飾りたい文化があると感じました。その文化をどう日本に導入して行くのか?何れ日本も文化を成熟させ、気軽に花のある生活もひっくるめて花を売って行かなければならない。小田急フロ-リストのアプローチの方法としては、自ら野菜を作る楽しさを味わう家庭菜園や、花に付加価値を付けて花のある楽しさを教えるプリザーブドフラワーの専門店などを提案しています。これからも花のある文化を提案し続けなければと改めて感じさせられました。


インターグリーン  木本孝行 氏

テスコ、マークス・アンド・スペンサーとポスシステムを構築し、完全なサプライヤー機能が確立されています。加工品もアレンジ花はほとんど見られず、価格帯を単品セット:£1.99、2.99、3.99、4.99、簡単なミックスブーケ:£3.00、4.00、5.00、高級ミックスブーケ:£7.49、9.99などに絞っています。これは加工業者にとっては効率が上がり、ロス率が下がり、コストが下げられる。量販店が望むものをサプライヤーが作らされている現状が強い日本から見ると、サプライヤーとして季節毎に量販店に提案できる形は素晴らしいと感じました。また商品の基準がきちんとできており、国内、海外との契約栽培をし、常に花に優しい保管状態が保たれています。商品の選別に関しても、判別する基準をきちんと設けています。
 また単品と簡単なブーケはパートのスキル毎に部門を分け、作られています。MIXブーケはハンドメイドで作られ、10名~20名の高齢者が担当し、インターグリーンの歴史を感じさせられました。彼らの周りに次世代の若い人達がおり、作品毎にマニュアルが整備されており、全員が同じ物を作る意識の高さ、物作りの技術を継承する事がインターグリーンが成功している最大の要因であると感じました。
 一方日本に置き換えると、スーパーに於いては鮮度、品質の保持が最も重要であり、仕入に於いては、折れていたり、咲き過ぎていたり、病害虫が付いていたり、また輸入品の薫蒸のリスクがあったりと日本の市場の基準が確立されておらず、産地から仕入れるきちんとしたレベル決めをしなければなりません。今後の自社商品に関しては、季節商品を産地・卸しと協力して提案できる商品つくりをする、輸入品との差別化をして国内品の販売をして行く事が重要な事と感じました。

顧客に何を伝えていくか?  横田由理子 氏

花は見るもの!ヨーロッパのセンスとアイデア、ウィンドウディスプレイの勉強になりました。IPMディスプレイでは全て植物を使ってコーディネートしていたり、生芝生や生のモスを使ったり、アマリリスの球根をモスと絡めてディスプレイしたり。また市場で果物、実物を販売し、店頭ディスプレイに上手に取り入れていました。もう一つの衝撃は、鮮度管理に力を入れている事です。当社の小売でも、フレッシュフラワーフードや、はさみを消毒するクリーナーの販売などに力を入れていますが、顧客への情報が大切だと感じました。また青山フラワーマーケットとして、産地の手書きの手紙をお客様にお渡ししたり、産地の声をもっと伝え、花を広げる取組をしていきたいと思います。



英国スーパーマーケットの戦略  海下展也 氏

15年位前までは、英国で花を買う理由はギフトが多かったが、たった15年で、自分で花を買う人が増えてきました。花のある生活を皆が考えていて、今は60%の人が花を買っています。イギリスはスーパーで花を買う人が65%と多く、スーパーからのお客様への花の提案が多くなっています。いままでのスーパーは、鮮度保持、日持ち保障をしてきましたが、ここに来て消費者に企業の社会責任(CSR)をどう果たして行くかの提案にかわってきました。1つ目はフェアトレード、花を作るために働いている人に優しい花です。2つ目は、カーボン・マイル(カーボンフットプリント)。二酸化炭素を排出しないようにしましょう。1つの目安として、自分たちがどれだけ地球を汚染しているか?TESCO社では飛行機のマークを付けてトラックで来ている近隣の花に比べ沢山のCO2を使っている事を表示しています。カーボンマイルの比較をすると、トラックは飛行機の1/10、コンテナ船は飛行機の1/50のCO2排出量になります。3つ目は包装資材の無駄の軽減をする。より少なく使い、使った資材をリサイクルし、使う素材を成分分解できるものに替えていこうということです。
 スーパーのM&Sは、今年から企業の社会責任としてプランAを消費者に提案しています。気象変動に何が出来るか?
CO2を余分に排出しない方法を考える。原材料を見近な物を使っていこう、健食を使う、ゴミを出さない、信頼できるパートナーと組みましょうなど、全て社会責任を問う提案をしています。
 また小売分野で、インターネット.com販売の急成長があります。TESCO社では2006年のクリスマスセールでたった6000件の注文が、2007年では4倍の26000件になり、その間のシステム追加コストは僅か7,500円でした。システムを組んで如何に提案するかが今後売上を伸ばす要因となります。
 店頭段階の傾向としては、他社との差別化があります。ウェイトローズでは花束を全て深い紫にする事で、それだけで15%以上の売上が伸びました。
 TESCO社の成功の要因としては、花束加工会社とパートナーシップを組み、ポスデータを公開したり、ある一定の利益が出たら利益を共有したり、花束加工会社の提案を受け入れるなどの花束加工会社との強い信頼関係があります。
 消費者の立場で買いたいものを提案したり、生産者との長期契約、日持ち保証販売の導入、生産者から消費者までの鮮度保持剤での花束鮮度一環・継続管理、販売ロス率を8%~12%に低減する等、多くの試みがされています。


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