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小川先生のコラム

2007年11月  「風で織るタオル:池内タオルとの不思議な縁」

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このところ、地方で活躍している中小企業の経営者にお会いすることが多くなった。中小企業庁が主催する「平成19年度中小企業活性化支援シンポジウム」(12月6日開催)で、基調講演とシンポジウムの司会を頼まれたからである。講演のテーマは「中小企業のブランド戦略」である。過日、愛媛県の池内タオルを訪問することになった。タオル業界については、6年前(2001年)に、大手のタオル問屋「内野」(本社:東日本橋)を取材させていただいている。同社が上海に工場進出した直後のことである。「中国に工場を建てなければ、いま問屋として会社を存続できていたかどうか?」と内野信行社長はインタビューで述懐していた。その当時、今治タオル組合の副理事長だったのが池内社長である。輸入タオルのセーフガード発動問題ではしばしばテレビにも登場していた。
 メディアが注目する中、池内社長にとって不運な事件が起こった。取引関係のあった販売会社が不渡りを出したあおりで、池内タオル自身が民事再生してしまったことである。2003年に民事再生法を申請、事業再生の手続きをとった。幸運だったのは、その前年に、池内タオルが出品したタオル「ストレーツカラーソリッド」が、米国の”New York Home Textile Show 2002”で最優秀新製品賞を受賞したことである。オーガニックコットンを原料にしたタオルは、1999年3月に「IKT」(2003年6月から国内は「風で織るタオル」)のキャッチコピーで発売されていた。基本コンセプトを変えることなく、いまでも百貨店・専門店の売り場とネットを主たる販路としている。受賞と民事再生というふたつの事件が同時に起こったことで、池内のオーガニックタオルは、世界中から熱狂的な支持者を獲得した。「がんばれ池内タオル!」である。池内タオルは1986年に「エコマーク」のついたタオルを発売、1999年にはISO14001を取得している。もともと、環境志向の強い会社ではあった。  オーガニックタオルの原料は、残念ながら国産ではない。原綿はアメリカ、ペルーやインドの認定農場、紡績はスイスや現地の認定工場、織りの最終工程だけが四国の今治である。池内タオルが織りの工程で使用している電力は、なんと、筆者が生まれ育った秋田県能代市の風力発電所から購入したグリーンなエネルギーであった。だから、「風で織るタオル」なのである。自社工場で使用する電力の100%を風力発電でまかなっているのは、日本の生産工場では池内タオルだけである。学生時代から秋田に帰省するときはいつも、朝方に叔母の家がある黒岡浜に行く習慣がある。海岸からキスの投げ釣りをするためである。そのとき、あまり深く考えずに砂浜から仰ぎ見ていたのが、風力発電の風車であった。日本海から吹いてくる強い風を受けて、ゆったりと回転する風車の羽は、「ガーン、ガーン、ゴーン」とさみしげな音を立てて鳴る。その風が起こしたクリーンな電力を池内タオルは利用しているわけである。