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コラム

小川先生のコラム

2007年4月  「長い歳月を費やして!」

有機農産物のマーケティングと流通に焦点を当てた「有機農産物の流通とマーケティング」と言う本を出版しました。長年研究してきた成果で、私がMPSを牽引してきた原点となったものです。本書を通して、読者に届けたいメッセージを会員の皆様に紹介したい。
 第一に、有機農産物の普及のためには、農業分野の生産知識だけでなく、マーケティングが重要であるということである。この点に関しては、海外のスーパーマーケット、たとえば、米国のホールフーズや英国のテスコから学べることは多い。生産情報と品質のわかりやすい店頭表現、適切なターゲットの選定、スマートな情報技術の活用、大規模なオペレーションによる効率的なロジスティックスシステムの構築である。消費者のLOHAS志向と生活を楽しむニーズ(食楽、食育)に、エンターテインメント的な要素を持ち込むことも大切である。
 二番目は、有機農業の農業政策的な意味あいについてである。国内農業改革、国際貿易政策の見直し、食料自給率向上を同時に考えなければならないことは、有機農業部門にとって絶好の躍進のチャンスだということである。近い将来において、安心・安全な農産物の国内生産が見直され、高付加価値型農業が盛んになるだろう。有機農業生産は、そのときには、現在のようなニッチではなく、農業の主流に躍り出る可能性がある。また、流通加工や小売業態として、将来のおいて、もっとも有望な産業分野である。
 第三番目は、農業分野における革新の質についてである。これまで農業セクターの努力は、農産物の生産性向上に集中していた。政策当局も農業生産者も、化学肥料や農薬やエネルギー(インプット)に対する生産物(アウトプット)の単位生産性を高めることに腐心してきた。しかし、いま農業部門に対して求められているのは、生産と流通の「同時革新」である。農業者が販売・流通の現場を知る必要がある。小売業者は、垂直統合の努力を通して、川上の生産段階にコミットすることが必須である。
 これまで約30冊の本を書いてきた。自分が書いた本を紹介することは照れくさいものである。ただし、本書はその例外である。構想から完成まで、約10年の歳月を要している。この4月からMPS参加者マークの付いた花がいよいよ市場に出回り始めました。これも2002年にJFMAセミナーに取上げてから長い時間を費やしての今日を迎えていることで感無量です。
 また、来月5月24日には、これも長い準備期間を経てJFMAの第1号のフリーペーパー「In Flower」が発行される予定です。皆様楽しみにしていて下さい。