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中国と日本を行き来する西村社長コラム~ 照葉樹林文化を改めて知る

2020 年 3 月 30 日 月曜日

学生時代に知った照葉樹林文化論は日本の民俗学者、中尾佐助氏等が提唱した学説です。ヒマラヤから東南アジア北部山地、中国雲南省や貴州省、長江下流域を経て日本に至る地域では自然の植生でシイ、タブ、クス、ツバキなど葉の表面に光沢のある常緑樹が基本をなし、その地域では文化的に共通する面が数多く見られることから日本の現在の文化もこの地から伝播してきたであろうという学説です。日本では縄文時代にすでに稲作があったことは知られており、その起源は中国長江下流域の、現在では杭州市の近郊にある良渚の古い遺跡から発見された田んぼが世界で最も古い稲作の証拠とされていました。 ところが、最近この良渚から100㎞以上離れた嘉興という所でもっと古い稲作遺跡が発見され、ここで博物館の建設が始まりました。

さて、最近貴州省貴定県の少数民族、布依族が栽培する水田地域を総合的に観光開発するプロジェクトに参加し、彼らと交流する中で改めて日本の文化とそっくりな風習や文化に触れることができました。五花米は米にいろんな植物材料を使って赤、青、黒、黄に着色して炊いたご飯ですが、日本の赤飯に近いものです。柏餅のように広葉で包んだ餅や笹の葉餅、おはぎのようなものもあります。塩菜は福岡の高菜漬けにトウガラシを入れて発酵させたものです。ただし、このトウガラシは数百年前に南米から伝わったもので古い時代ではなかったはずですが。この布依族の民俗衣の装である布の色彩は日本の藍染に近いものです。餅つきの臼や杵もそっくり、何と竹馬を作って遊ぶ様は全く同じです。公共の露店の浴場もたくさんあります。かなり昔の話ですが、雲南省西双版納の少数民族の地域を訪れた時も感じましたが、米酒を飲みながら改めて日本の文化の多くがこの地と同様であることを認識しました。

文化論ではありませんが、現地で興味を持ったのは野生のバラの種類が非常に多いように見えることでした。黄色の実を着けるハマナスRosa rugosaは多く見かけます。現在の四季咲バラ改良の原点であるRosa chinensis は冒頭の中尾佐助氏の著書「花と木の文化史」によると現在では見つかっていないとのことですが、もしかしてこのような野生化した四季咲バラの中にあるかもしれないと思いつつ現地を後にした次第です。

MPSニュース2020年6月号掲載

西村社長プロフィール

西村 潤(にしむら・じゅん)
鹿児島県出身。京都府立大学 農学部修士課程卒業、
種苗会社等で、野菜・花きの育種および事業に携わる。
現在、中国農業関連企業主席専門家、杭州万向職業技術学院教授
2012年ECASジャパン代表取締役就任 日中を飛び回る忙しい日々をおくっている。


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