MPS

MPS本部デグルート総裁講演

2009 年 8 月 20 日 木曜日
  • ■タイトル:第4回MPS参加者ネットワーク協議会特別講演「持続可能な品質(Sustainable Quality)」 
  • ■発表者:テオ デグルート 氏(MPS財団 総裁)
  • ■開催日:2008年5月20日
  • ■概要:
    Ⅰ  認証 「認証が大きな役割を果たす!」
    これからの社会では認証が大きな役割を果たすと思います。
    取引が自由になり、インターネットの発展と共に、認証の中でも、国際的な認証が必要となっていきます。スーパーマーケットやチェーンストアとビジネスをする上で、認証が要求の一つになってくるとも考えられます。苦情に関する対応も追跡しやすくなります。たとえば、イケアでは、苦情に対して24時間以内に答えるという方針があります。常に認証に基づいたデータやマニュアルがあるからこそ、いつ、誰が、何を、どれだけ使ったか等の情報が管理されています。そのような対応は、会社のブランドを守るという事につながってゆくと思います。さらに、今後、花き業界は大きな注文にも対応できるように規模を拡大してゆく事が求められます。大きな注文にも認証のような統一した基準があることで対応することができるのではないでしょうか?認証によって新たな市場を開拓できる可能性があります。
     
    又、農薬やエネルギーを使用する花き産業は環境に敏感なNGO団体の標的になることも有り得ます。そのような時に、自分を守るという意味で認証が大切になってきます。オランダでMPSが始まったきっかけの一つが、今から15年ほど前に環境保護NGOから攻撃を受けたことです。その時に生産者が集まりどうしたらよいか話し合いをしました。そこからMPSが生まれました。認証を取るには費用がかかりますが、利益を保証しているわけではないので、認証をとる意味はどこにあるのか?とお思いになるかもしれません。確かに利益の保証はしていませんが、一度、評判というものが落ちると元に戻すのには大変な費用がかかります。そのように考えた時に認証を取ることを選ぶかはあなた自身の選択です。
     
    政府は多くの場合、認証の設定に消極的です。それでも、もし花き産業関係者が自分たちで規則や認証を作らなければ、いずれは、政府のルールに従わなくてはなりません。私が強く言いたいのは、自分たちの産業は自分たちで創造してゆくということです。その為には、皆さんが、一体となって早い対応をする事が求められます。
     
    MPSの認証は花き産業の全てをカバーしています。花き産業でもっとも重要な要素は、利益(Profit)、人(People)、地球(Planet)の3つです。MPS-Q, ISO, Florimark-GTPは、利益に関係のある認証です。MPS-SQは人、MPS-ABCは地球に関係があります。MPS-GPAやMPS-TraceCertは人と地球の両方に関係のある認証です。
     
    ビジネスを行うということについて考えてみます。少し前までは「Trust me(私を信用してください)」という事がビジネスをする上で大切でした。しかし、時代と共に、「Tell me(私に教えてください)」という考え方に移行してゆきました。つまり、「Tell me what is the situation? (今、どのような状況なのか教えてください)」とより具体的になってきました。そして、現在は「Show me (私に見せてください)」とさらに具体的になりました。「Show me」といった時に、何を見せるのか?キーワードとなってくるのが、検証、トレーサビリティー、認証、共有のデータベースです。
     
    Ⅱ 今後のビジョン 「個人が自分の行動に責任を持ち、更に集まって協力する!」
    今後のビジョンを考える時に花き業界が辿らなければならないルートは2つあります。1つは、「責任ある集合体」、もう1つは、「国際市場の分析」です。
     
    「責任ある集合体」において、この花き産業をよい産業、よいイメージにしてゆく為には、個々が責任をもって取り組まなければなりません。その取り組みの一つがMPSです。オランダの1000生産者から始まったMPSに今では7割のオランダの生産者が参加しています。MPSの大切さが伝わったからこそ、広がっていったのだと思います。「自己責任」とは何なのか?を理解しないままでいると、将来、大きな問題にぶち当たると思われます。そして、「集合体」についてですが、花を売るといっても色々な花、色、大きさが必要です。一人でその要求を達成することは難しいでしょう。しかし、皆で一体となれば、産業を伸ばす事ができるのです。隣は敵なのではなくて、協力できる相手なのです。「個人が自分の行動に責任を持ち、さらに集まって協力する」という事はとても大切な事だと思います。
     
    「国際市場の分析」において、データというものはとても大切なものです。オランダではMPS-ABCのデータは1つで4つの役割を果たしています。【1】MPS-ABC認証の為 【2】政府機関の為 【3】地方自治体の為 【4】国家統計の為です。MPSで蓄積したデータを使用すれば、関係当局や公共団体にとっては管理負担の軽減になります。生産者にとっては、データを分析して改善を行えば、コストを下げることができます。現に、過去10年間で3000人の生産者を見た時に、エネルギーの使用量は30%減りました。しかも、生産は30%増えています。つまり、一本につき60%コストが下がっているのです。同じ事が農薬にも言えるので、総体的にみるとその効果は大きなものです。このような結果は、単にMPSの力によるものとは思っていません。ただ、データをとる事によって、分析をし、自分の位置を知ることができます。そうすると、現状満足という事がなくなるはずです。「データと分析」そこから得られる効果は大きいと思います。
     
    MPSは世界規模で発展をしています。今はまだ全てそろっている国はありませんが、MPSの最高峰と言われているのが、MPS-Florimark Production, MPS-Florimark Auction, MPS-Florimark Tradeの3つです。各トップの企業がこの認証を取得することによって、分業化されていた一連の流れが結合することでしょう。
     
    少し世界におけるMPSの現状をお話しますと、アジアにとって日本は注目すべき国です。日本がお手本となってゆくでしょう。南米ではブラジルに事務所を立ち上げ、南米全体を統括する予定です。ロシアでもイケアの要請でMPSは広がっています。2008年8月からは野菜と果物のMPSが始まります。MPS残留農薬測定と指標、MPS二酸化炭素測定と指標にも取り組んでいます。又、花束加工会社向けにもMPSの認証を作りました。その他、進行中のプロジェクトとして、花の船舶輸送が増えている事を背景にボトリチスに関する研究、エディブルフラワーと花の残留農薬の研究なども行っています。最近では、水の欠乏問題に対して、バーチャル・ウォーターと言って商品がどれほど水を使用して作られたか換算する研究が進んでいます。
     
    Ⅲ 持続可能性 「持続可能性(Sustainability)には未来がある!」
    我々は後ろを振り返らずに未来をみて生きていくべきです。その未来の為には、持続可能性はとても大切です。持続可能性には3つの要素があります。社会、環境、経済。MPSは環境からスタートしていますが、社会、利益というものも考え、認証のシステムを作りました。そういう意味で持続可能性を考えています。例を見ると、ユニリバー、シェルのような大きな企業も声明に「持続可能性」という事を謳っています。
      
    今後、考えられる重要な発展について述べたいと思います。原料や食料は欠乏します。実際、中国はアフリカの土地を買い、米を栽培しています。リサイクルがより重要になってくるでしょう。又、アメリカ元副大統領アル・ゴアの映画「不都合な真実」で伝えられたように気候変動が起こるでしょう。そして、我々は、情報社会から体験社会へと移行していきます。
     
    もう少し、詳しくこの体験社会について説明したいと思います。我々の社会は、農業社会→工業社会→情報社会→体験社会へと移行してきています。企業も商品を売る時、単に商品を売っているのではなく、体験や感情を売っているのです。例えば、電気メーカーのフィリップスは電化製品を売っているのではなく、ライフスタイルを売っていると宣伝しています。トヨタは車を売っているのではなく、ある場所から他の場所に移動するという体験を売っているのです。銀行はローンや投資信託を売っているのではなく、私たちの未来を売っているのです。体験とは「市場を通して消費者が個人的にあなたの商品に関わること」を意味しているのです。私たちは新たな時代に突入したのです。
      
    さらに持続可能性を考える時に、「伝統」というものはとても大切になってきます。伝統というのは今日まで続いているものです。伝統的な価値の中に、持続可能性のヒントが隠されているのではないでしょうか?そして、商品にはストーリー性が必要です。例えば、花は単なる花ではなく、富士山のふもとの水がきれいな地域で昔から春の訪れを知らせてくれる花というストーリーです。又、持続可能であるためには全商品は地球にやさしく、商品に関する情報(品質など・・・)は商品に組み込まれている必要があります。持続可能性には「未来がある」と私は信じています。

    以上


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